参考文献
このガイドブックを作成するにあたり、以下の書籍、ウェブサイト、論文、および各種資料を広範に参照しました。リストは、読者がさらに探求を深めるための一助となることを目的としています。
書籍
古典・主要作品（邦訳版）
- 安部公房『砂の女』『他人の顔』『箱男』新潮文庫。
- アンドレイ・ベールイ（川端香男里訳）『ペテルブルグ』講談社文芸文庫、2000年。
- イタロ・カルヴィーノ（脇功訳）『冬の夜ひとりの旅人が』白水Uブックス、2006年。
- イタロ・カルヴィーノ（米川良夫訳）『見えない都市』河出文庫、2000年。
- ウィリアム・S・バロウズ（鮎川信夫訳）『裸のランチ』河出文庫、2003年。
- ウィリアム・フォークナー（加島祥造訳）『響きと怒り』岩波文庫、2012年。
- ヴァージニア・ウルフ（土屋政雄訳）『灯台へ』光文社古典新訳文庫、2016年。
- ヴァージニア・ウルフ（鴻巣友季子訳）『ダロウェイ夫人』河出文庫、2020年。
- 大江健三郎『個人的な体験』『万延元年のフットボール』講談社文芸文庫。
- ガブリエル・ガルシア＝マルケス（鼓直訳）『百年の孤独』新潮社、2006年。
- ジェイムズ・ジョイス（丸谷才一ほか訳）『ユリシーズ 1-4』集英社文庫、2004年。
- ジェイムズ・ジョイス（柳瀬尚紀訳）『フィネガンズ・ウェイク 1-4』河出文庫、2017年。
- トマス・ピンチョン（佐藤良明訳）『重力の虹 1-2』新潮社、2021年。
- 中村真一郎『夏』『冬』『春』『秋』（四部作）新潮文庫。
- ナタリー・サロート（平岡篤頼訳）『プラネタリウム』白水社、1991年。
- ニコライ・ゴーゴリ（浦雅春訳）『鼻・外套・査察官』岩波文庫、2006年。
- フランツ・カフカ（池内紀訳）『城』『審判』新潮文庫。
- ホルヘ・ルイス・ボルヘス（鼓直訳）『伝奇集』岩波文庫、1992年。
- マルグリット・デュラス（田中倫郎訳）『愛人／ラマン』ハヤカワ文庫、1992年。
- マルセル・プルースト（井上究一郎訳）『失われた時を求めて 全14巻』ちくま文庫、1992-1993年。
- アラン・ロブ＝グリエ（望月芳郎訳）『嫉妬』新潮社、1959年。
研究書・批評・理論書
- Barthes, Roland. "The Death of the Author." Image, Music, Text, translated by Stephen Heath, Hill and Wang, 1977.
- Bradbury, Malcolm, and James McFarlane, eds. Modernism: A Guide to European Literature 1890-1930. Penguin Books, 1991.
- Breton, André. Manifestoes of Surrealism. University of Michigan Press, 1969.
- Calinescu, Matei. Five Faces of Modernity: Modernism, Avant-Garde, Decadence, Kitsch, Postmodernism. Duke University Press, 1987.
- Charters, Ann, ed. The Portable Beat Reader. Penguin Books, 1992.
- Ellmann, Richard. James Joyce. Oxford University Press, 1982.
- Hutcheon, Linda. A Poetics of Postmodernism: History, Theory, Fiction. Routledge, 1988.
- Patricia Waugh, Metafiction: The Theory and Practice of Self-Conscious Fiction, Methuen, 1984.
- Peter Bürger, Theory of the Avant-Garde, University of Minnesota Press, 1984.
- Proust, Marcel. Contre Sainte-Beuve. Gallimard, 1954. (邦訳：『サント＝ブーヴに反して』ちくま文庫)
- Richter, Hans. Dada: Art and Anti-Art. Thames & Hudson, 1965.
- Robbe-Grillet, Alain. Pour un Nouveau Roman. Les Éditions de Minuit, 1963. (邦訳：『新しい小説のために』)
- Sartre, Jean-Paul. "Nathalie Sarraute." In Situations I. Gallimard, 1947.
- Sontag, Susan. "Against Interpretation." In Against Interpretation and Other Essays. Farrar, Straus and Giroux, 1966.
- Benjamin, Walter. "Franz Kafka: On the Tenth Anniversary of His Death." In Illuminations. Schocken Books, 1968.
- 巖谷國士『シュルレアリスムとは何か』ちくま学芸文庫、2002年。
- 高橋和巳『文学の責任』河出書房新社、1969年。
- 集英社編『世界文学大事典』集英社、1996年。
- 新潮社編『新潮世界文学辞典』新潮社、1990年。
- 千石英世『ヌーヴォー・ロマンと日本文学』水声社、2013年。
- 丹生谷貴志『プルーストから王権神授説まで』みすず書房、2004年。
- 沼野充義『世界文学論』岩波書店、2020年。
- 蓮實重彦『凡庸な芸術家の肖像』筑摩書房、1988年。
- 松浦寿輝『 modernist japan: モダニズムの日本の文学と芸術』名古屋大学出版会、2010年。
論文・学術記事
CiNii Articles, J-STAGE, Google Scholar, 各大学リポジトリ等の公開情報を元に、オンラインで閲覧可能な論文を中心にリストアップしました。
モダニズムと意識の流れ
- 岩田託「流れの文学-ヴァージニア・ウルフと「意識の流れ」」『英米文学』15巻, 2004年.
- 小野寺健「「意識の流れ」の行方 : ジョイスからベケットへ」『英文学研究』42巻, 2000年.
- Cohn, Dorrit. "Narrated Monologue: Definition of a Fictional Style." Comparative Literature, vol. 18, no. 2, 1966, pp. 97-112. (JSTOR)
- Humphrey, Robert. "The Stream of Consciousness: A Study in Literary Method." The Hudson Review, vol. 7, no. 3, 1954, pp. 456-459. (JSTOR)
- Saye,gh, Muna. "The Narrative Technique in William Faulkner's The Sound and the Fury." International Journal of Language and Literature, vol. 9, no. 1, 2021, pp. 29-34.
- Terrier, Jean. "Proust and the Neurosciences: The Visionary Intuitions of a Writer on the Functioning of Memory." Frontiers in Human Neuroscience, vol. 11, 2017.
シュルレアリスム、ダダ、不条理
- 浜本さやか「シュルレアリスムのオートマティスム ―画家たちの「レオナルド・ダ・ヴィンチの壁」の実践―」『Cahiers Simone Weil』2号, 2010年.
- Esslin, Martin. "The Theatre of the Absurd." The Tulane Drama Review, vol. 4, no. 4, 1960, pp. 3-15. (JSTOR)
- Ghasemi, Parvin. "On the Nihilism in Endgame." US-China Foreign Language, vol. 10, no. 1, 2012, pp. 791-804.
- Sokhan, L. "The Problem of Alienation in Franz Kafka's "The Metamorphosis"." Kharkiv National University Herald, no. 1146, 2015.
ヌーヴォー・ロマンと物語の変革
ポストモダンとメタフィクション
- Waugh, Patricia. "What is Metafiction and Why are They Saying Such Awful Things about It?" Metafiction: The Theory and Practice of Self-Conscious Fiction, Methuen, 1984. (抜粋: Taylor & Francis)
- Stephan, Matthias. "The Postmodern Structure of Consciousness: An Analysis of Epistemological and Ontological Questions in Genre Fiction." (Dissertation, University of Illinois at Urbana-Champaign, 2016).
- Korkmaz, Ramazan. "A Hypermetafictional Reading of Italo Calvino's If on a Winter's Night a Traveler." International Journal of Arts and Social Science, vol. 4, no. 1, 2021.
- Bowman, Jean Ann. "Jorge Luis Borges: A Study of Criticism in the United States." (MA Thesis, Texas State University, 1972).
ビート・ジェネレーションとカウンターカルチャー
ラテンアメリカ文学とマジックリアリズム
- Bowers, Maggie Ann. "Magic(al) Realism." The New Critical Idiom, Routledge, 2004. (Taylor & Francis)
- Zamora, Lois Parkinson, and Wendy B. Faris, eds. Magical Realism: Theory, History, Community. Duke University Press, 1995.
- Rodriguez, Kayla Cherice. "Examining Julio Cortázar's War on Language in Rayuela." (Honors Thesis, University of Colorado Boulder, 2018).
日本の前衛文学
Webサイト
総合・百科事典サイト
専門資料・アーカイブ
オンラインマガジン・記事
読書案内：レベル別おすすめ作品
前衛小説の広大な世界を探検するための、ささやかな道標として、以下の作品をおすすめします。
初級編：まずはここから
比較的読みやすく、前衛小説の持つ特異な面白さへの扉を開いてくれる作品群です。
- フランツ・カフカ『変身』：ある朝、巨大な虫になっていた男の物語。不条理文学の古典でありながら、その心理描写は普遍的で、読者を引き込みます。
- 安部公房『砂の女』：砂丘の穴に閉じ込められた男の物語。シュールな設定の中に、現代人の孤独や共同体の問題を鋭く描き出します。
- ホルヘ・ルイス・ボルヘス『伝奇集』：無限の図書館や円環する時間など、幻想的なモチーフを通じて哲学的な問いを探求する短編集。一篇一篇が思考の迷宮です。
中級編：実験の深みへ
物語の快楽だけでなく、「小説とは何か」という問いそのものを楽しむための作品群です。
- ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』：「意識の流れ」の技法を駆使し、ある一日のロンドンを舞台に、人々の内面世界を詩的に描き出します。
- イタロ・カルヴィーノ『冬の夜ひとりの旅人が』：「君」という読者が主人公となるメタフィクションの傑作。読書という行為そのものが冒険になります。
- アラン・ロブ＝グリエ『嫉妬』：心理描写を排し、執拗な物質描写だけで嫉妬という感情を浮かび上がらせる、ヌーヴォー・ロマンの代表作。
上級編：文学の極北へ
読解には忍耐と努力を要しますが、乗り越えた先には、これまでの文学観を根底から覆すような体験が待っています。
- ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』：20世紀文学の最高峰。たった一日の出来事を、驚異的な言語実験の連続で描き尽くします。
- マルセル・プルースト『失われた時を求めて』：紅茶とマドレーヌの記憶から始まる、意識と時間の探求の旅。読書自体が人生の一大プロジェクトとなります。
- ジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』：複数の言語を融合させた「夢の言語」で書かれた、文学史上最も難解とされる作品。言語の極北を目指す冒険です。